「Buon anno!」



 携帯が振動しライトがメールの着信を知らせてくる。
 『Buon anno!』のタイトルに添付ファイルのマーク。差出人欄には渡された時から登録されていた「でぃーの」の文字。予想通りすぎてなぜだか雲雀はため息が出た。
 開いたメールに添付された画像には、パーティー会場で撮られたらしいウインクしたディーノに『Buon anno!』の吹き出しが付いている。本文にはいつものセリフが並んでいた。
「風邪ひいてないか?」
「あたたかくしろよ」
「また並盛に行くから待ってろ!」
 元日の午前8時過ぎ。自分からは送る気はないが、新年の挨拶をもらったからには返すのが礼儀だと雲雀も思う。思うのだが。
 メールの最後に書かれた言葉が雲雀の返信する気を遠ざける。
 そろそろ本気で日本語の勉強をしなおせと勧めるべきかもしれない。ディーノのメールを読むたびこちらの気力が削り取られていく気がするのだ。
 気乗りしないが無視するほどのことでもない。というかディーノのメールはいつもこんな感じなので慣れたと言ったほうが正しいか。
 返信キーでメール作成画面を開く。タイトルは当然『明けましておめでとう』。本文は無しにしても良かったが、来年も同じように書かれてウンザリするのはできれば避けたい。
 送信キーを押す前に一応見直す。くどくど書くのも面倒なので簡潔にまとめてみた。これで分からないと聞いてきたら、次に会う時に一発多く殴ってやると雲雀は決めた。



『よいお年を!って、あなた気が早過ぎじゃないの』




                      Fin.

                     2011. 1. 1 



あけましておめでとうございます。
今年ものったり更新になりますが
よろしくお願い致します。

私の書く二人には携帯が良く出てくるなぁと
今ごろになって気付いたりとか。
だって遠恋に携帯は欠かせないよねって
言ってみたりしてー。