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together (Version-girl) |
専用の送迎バスから数組の客達が降りてくる。40代から60代の夫婦連れらしい客達は正月をリゾートホテルで過ごそうとやってきた、比較的裕福な階級の人々に見えた。その中に混じって一際目を引く若い二人連れがいた。 団体客がロビー中央で館内の利用方法の説明を受ける後ろを通り過ぎ、20代前半に見える男性がフロントに向かう。連れの女性は遅れまいと小走りに後を追っていった。 「予約した蛭魔だけど」 「お待ち下さい。…本日からお二人様にてご予約の蛭魔妖一様ですね」 こちらにサインをと示された紙に二人の氏名や住所などをスラスラと書き込んでいく。 「蛭魔妖一様、小早川瀬那様、本日は当ホテルへようこそおいでくださいました」 カードキーを受け取り、エレベーターで二人きりになるのを待っていたように女性が大きく息をついた。 「はー、ドキドキした!」 言葉とおり、その興奮を表すように頬が赤い。丸い毛糸の玉がついたニット帽。裏地の縁にファーのついたモッズコート。パッと見ると子供のようだが、コートから伸びる足は綺麗なラインを描き、帽子と同色のニットワンピに包まれた身体は十分女性らしい丸みを帯びていた。 「俺かけた変化がすぐに解けるとでも?」 からかいの口調で問えば、違う違うと必死に弁解を始める。 「だってあんなに人間と一緒だったの初めてで!」 軽い機会音が目的階への到着を報せてエレベーターのドアが開く。 途端にまた緊張する背中を押して、二人で廊下に出る。左右を見ても誰もいないことを確認した女性は力を抜きつつも隣の男性にピッタリくっついた。 「離れないで下さいね、ヨーイチさん」 「離れねーから腰にしがみつくなよ、セナ」 スーペリアツインの室内は落ち着いた明るさで、やっと完全に人目を感じなくなったセナが肩から力を抜いた。 「リゾートホテルにきて疲れる奴がいるかよ」 「だって~」 ばったりと倒れ込んだセナをゆったしたベットが受け止める。緊張が解けてフニャフニャなセナが答える。 「いつばれるかと思ったら気になって気になって」 頭に手を当てると、確かめるように動かす。 「耳も尻尾も出てねーよ。テメーの下手くそな変化と一緒にするな。どっから見ても人間だっつーの」 セナのコートを剥ぎ取り、自分のコートもクローゼットにかけた。 「えー…でもなんかジロジロ見られてたし…」 見られていたのはどこか変だからなんじゃと俯いたままで続けるセナに「文句あるなら今すぐ解くぞ」とヨーイチが言えば、「ごめんなさい、もう言いません!」と慌ててセナが起きあがった。 履いたままだったブーツを脱いで、ベットの端にちょこんと座ったセナの姿にヨーイチが苦笑する。 「ほら~ヨーイチさんも笑うし~」 拗ねて膨らませた頬を突きたくなったヨーイチは、セナの横に座るとためらう事なく実行した。突かれてますます膨れる頬に吹き出す。 「も~ヨーイチさんのバカァ~~~」 涙目になりだしたセナがポカポカと叩いても、ヨーイチは上機嫌を崩さない。 「テメーが変なはずねーだろ」 「……ホントに?」 「本当だ」 「ヨーイチさんがそーゆーなら信じる…」 瞳を潤ませながらもホニャリと笑うセナは、大人と子供の雰囲気を絶妙なバランスで身にまとっている。それはそのままセナの中身を表していたのだが。 「でもどうしてコレ?」 自分の身体をぺたぺたと触るが、今度は心配からというより好奇心といった様子の手つきだった。どこもかしこも細く丸く柔らかい。 ふんわり盛り上がった胸に手を置き首を傾げるセナは、地で小悪魔をいっていた。 「……いつもの僕は嫌い?」 「そんなはずねーだろ」 くしゃりと頭を撫でると擦り寄る仕種は猫の時と変わらない。 「俺らのいつもの格好だと、こんなトコに来るには不自然なんだよ。だから俺も変えてるんじゃねーか」 セナはともかく、ヨーイチも青年を抜けた年齢に見えた。分かってるという替わりにセナが頷く。 セナも変化ができない訳ではない。ただまだ不安定で、その時々で年齢に開きが出る。10~16才位の少年と20前後の青年。街中ならまだしも、リゾートホテルにこの二人連れでは浮けと言わんばかりである。 「僕らどう見えてるのかな」 「さぁな。どんな姿になろうと俺は俺でテメーはテメーだし」 「僕がどんなのにへんげしても分かる?」 「番を間違えたりしねーよ」 素っ気ない口調だが、セナは一瞬で耳まで赤く染まった。それを見たヨーイチは倒したい誘惑に流されそうになるのを堪えて立ち上がる。 「ほら、立てよ。風呂入りたいんだろ」 そう言ったのは『ここに行きたい』とセナが言った事を指していた。適当に見繕って与えた雑誌の内の1冊。旅行ガイドをめくって、ココと指差したホテル。めったにおねだりなどしないセナから期待と遠慮が混じった顔で見つめられたら、叶えてやりたくもなるだろう。 「そういや、なんでココなんだ?」 『行ってみたい』とだけで理由まで聞いてなかったなとヨーイチが問うと、 「ヨーイチさんのだから?」 何故に疑問系?しかも『ヨーイチのだから』とは? 「ココってヨーイチさんのモノじゃないの?」 「どーゆー意味だ?」 「だって『猫魔ホテル』って書いてあったよ?」 「………つまり」 『猫魔』 = 『猫又』 + 『蛭魔妖一』 = 『ヨーイチさん』 「………そんな訳あるかーっ!!!」 セナの盛大な勘違いから思いがけない年越しとなったが、『ヨーイチの名前がついた場所に行ってみたかった』という可愛い願いを叶えられたのでまあいいかと思ったヨーイチであった。 Fin. 2009. 1. 1 |
「Hold to」の続き、少女Versionです。
オンで初めてのにょたv でも猫v かなり微妙?
でも本人かなりご機嫌で書いてましたvvv
母と南東北へ旅行した時のコースに入ってたのがこのホテル。
ホテルの名前見て、『ここなら一緒に行くわ』と(笑)
『猫カップルで温泉~』と脳裡を駆け巡ったのは
いうまでもありませんね!
そう、大浴場が温泉でした。猫魔温泉。
浴衣が超ラブリー柄vvv
おまけがあります。
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(終了 : 2009.1.10)