「 trastullo 」 
       
      
        
          
             
             
             
            「イタリアはいいとこだぞー。景色は綺麗だし食べ物もウマイ」 
「日本も景勝地はたくさんあるし、和食は健康食だよ」 
             ディーノは執務机の前にしゃがみ込み、両手とあごを机に乗せて何とか雲雀の視界に入ろうとする。20を越えた大人のすることではないと思うのだが。 
             今日はいつも通りのノック無しの訪問からこっち、ずっと似たようなやり取りが続いている。 
「並盛の外を見て知るのも勉強になるぜ?」 
「それなら隣町でいいよ」 
「そーじゃなくて」 
「同じだよ」 
             雲雀にとっては隣町もイタリアも「並盛ではない」という一点においては同じだった。 
             左に積まれた報告書や日誌に目を通して右に積んでいく。机を揺らしたら部屋からたたき出すつもりなのをディーノも見抜いてるのか、今の所は張り付くに留まっている。 
             しかし今日はやけにしつこい。 
「なー、恭弥ー」 
「何があるの」 
「何って、だから見るモンなら遺跡とか美術品?あとブランドショップも多いしー」 
「違う」 
             よく話題が尽きないなと思うくらいしゃべるディーノは、来るたび雲雀をイタリアに誘う。だが、だいたいは「行かない」「そっか」で終わっていたのに。 
             何がある? ディーノが雲雀を誘う理由。雲雀が「そこにいなければならない」ような何が? 
             目を通し終えた日誌から飴色に視線を移す。 
             疑問の色を浮かべる飴色に視線を固定すると、苦笑とともにため息をつかれた。 
「恭弥は聡いなー」 
「僕に隠し事なんて通じると思うのが間違いだよ」 
             よいしょと足を伸ばして立ち上がったディーノが、背伸びもしながら雲雀をちらりと見やった。 
「来てくれるなら言う」 
「さっさと出てって」 
「ウソウソ、冗談だってっ」 
             相手に合わせて上げた顔を下ろし、閉じた日誌を右に積んだ。慌ててまたしゃがんだディーノが下から覗いてくるが知ったことかと無視する。 
「ごめん、俺が悪かった。許してくれ」 
「ふざける人間に付き合うほど僕は暇じゃない」 
「きょーやー」 
             連休を前に片付けておきたい書類が雲雀を待っている。未練たらしくこちらを伺うディーノをかまってやる余裕などどこにもない。 
             新しい書類を取るべく伸ばした雲雀の手をディーノがさえぎるように握った。 
「邪魔だよ」 
「さっきは俺が悪かった。ちゃんと話すから聞いて欲しい」 
             真摯な響きの声に反応して、雲雀の背筋がピンとなった。向けられた眼差しもまっすぐ雲雀をとらえている。 
             わざと軽いノリを装っていたのかと、改めてディーノに向き直る。普段の態度が軽い分、真面目な顔には真剣味があった。 
             雲雀の聞く姿勢にディーノがふわりと感謝の笑みを浮かべた。 
「もうすぐ恭弥の誕生日だろ?だからお祝いしたいと思ってさ」 
「……」 
「パーティーとかはしないぜ?お前嫌がるの分かってるし。こっちとあっちじゃ祝い方も違うみたいだし。だから、恭弥の好きそうな料理で食べに行って、後は俺ん家でゆっくりしてってくれたらなって」 
「…それだけ?」 
「ん?あぁ!庭でよけりゃ手合わせにも付き合うぜ?俺も休み確保してるからな。恭弥が見たい場所とか物があるなら連れてってやるし」 
「…本当に、それだけなの」 
「んん?プレゼントのリクエストなら…」 
             最後まで言わせなかった。 
「ぅおっっ危ねっ!!」 
             ディーノがギリギリかわしたトンファーがドア横の壁に突き刺さる。 
「おまっ、俺じゃなきゃ額割れてたぞ!」 
「割れたら馬鹿な考えもおこさないでしょ」 
             雲雀の声を聞いたディーノは部屋の温度が10度ほど下がったかのように感じた。 
「き、恭弥?」 
             いつも雲雀はそっけない。だが「そっけない」は「冷たい」とは違うのだと、遅まきながらディーノは理解した。 
             そっと伺い見た顔はまだ幼さから抜けない丸みを残しているのに、切れ長の眼差しは切り付ける鋭さでディーノに向けられている。 
             雲雀に睨まれたからといって怯むディーノではない。が、雲雀が全身から発する空気が動くのをためらわせた。 
             ディーノが動かないのを見た雲雀は静かに椅子から立ち上がった。 
             見下ろす飴色から視線を断ち切り、何も言わずにドアへ向かう。 
             雲雀がディーノの横を通り過ぎる寸前。かける言葉も思い付かないのに、とっさにつかまえようと動いたディーノの手が止まった。 
             雲雀は何もしていない。トンファーも隠しに納められたままだ。けれどディーノは動けなかった。 
「……」 
             のどまで上がっている言葉が口から出ない。中空で固まったままの腕が、自身の反応に戸惑うディーノを表していた。 
             困惑するディーノをよそに、ドア前で立ち止まった雲雀は上着のポケットから携帯を取り出した。 
             何をするのかと訝しむディーノは次の瞬間、目と耳を疑った。 
             パンッという音に続いて聞こえたのは、壁や床に落ちて当たるカチャカチャと軽い音。小さいとはいえ金属を使用した機械である。高く、いっそ軽やかな音をたて粉々になった携帯電話は、ディーノが雲雀に渡した物だった。 
「……こういうのが悪意のない邪気っていうんだろうね。僕の『自称・家庭教師』は要らないことばかり教えてくれる」 
             聞こえた雲雀の声には笑う響きなのに。だがディーノはこんな声に覚えがある。話したくもない相手に口を開かなくてはならない時、声に表れるのは怒りより笑いだった。 
 
 
             実際、雲雀のムカつきは頂点を越えていた。ディーノに飛び掛からなかったのは、ムカつきのままに向かっても咬み殺せる相手ではないと頭の片隅で分かっていたから。それと、その告白内容の失礼さのあまり襲ってきた脱力感が雲雀をその場に留めたのだ。 
             出来るなら二度と顔も見たくない。そう思った雲雀だったが、そうはいかないだろうことも想像がついた。 
             自分の関知しないところで何かに巻き込まれているのを感じてはいた。面白くないこともあったが、たいていは楽しいこととセットにやってきたから大目にみていたのだ。その最たるものが『自称・家庭教師』である。 
             この構いたがりのイタリア人は時々やってきては、雲雀をあちこち連れ出そうとする。それが手合わせならどこでも行くが、目的地は街中だったり観光地だったりと手合わせに向くとは思えない場所ばかり。 
             当然断る雲雀に「仕方ないなー」とあっさり引き下がるのだから、ディーノとて雲雀が頷くとは思っていないはずだ。なのに毎回毎回、一言目には「デートに行こう」と言うからふざけているとしか思えない。 
             それでも雲雀がディーノを追い返さなかったのは、来れば必ず手合わせをして行くから。都合が悪くなればそう言い、埋め合わせを申し出てきた。 
             すっぽかされたり聞き苦しい言い訳を並べたなら見切りもする。しかし、海を越えてやってくる仕事を抱えた(見えにくいが)大人が、頭を下げて(電話ごしの時は知らないが)謝罪してくるのだ。受け入れなければこちらが子供っぽいととられてしまうだろう。それは雲雀にとって嬉しくない評価となる。受け入れるしかないではないか。 
             それに、群れでやってくるのも、ベタベタしてきて暑苦しいのも、キラキラしくて目にやかましいのも。色々ひっくるめてディーノは雲雀が眉をしかめる要素満載の人間だった。しかし、それを補ってあまりあるほどの強さがディーノにはあった。 
             咬み殺せないのは悔しかったが、手合わせをするたびに自分が強くなっていくのが分かる。だが強くなった自分よりまだディーノは上をいくのだ。 
まだ上がある。自分は強くなれる。ディーノとの手合わせはそれを雲雀に教えてくれる。あれほど楽しい時間は他にはありえない。 
             ふざけた言動も多かったが、手合わせを、雲雀の望みを1番にしていると、家庭教師を名乗る男はそれを分かっていると思っていた。信じていたのかも知れない。 
             雲雀は己の愚かしさに笑うしかない。楽しくもないのに唇が笑みに歪む。 
             雲雀が砕いた携帯にはディーノや草食動物の番号やアドレスが最初から登録されていた。(といっても、かけてくるのはディーノばかりで、ほぼディーノ専用といえたが。)赤ん坊の連絡先を失うのは惜しかったが、彼なら用事があれば直接雲雀に会いにくる。そうなれば雲雀にためらう理由などない。 
             どうせしばらくすれば何も無かったように現れるだろう相手だ。少しの間だろうが、ディーノに関することから遠ざかりたい。 
             背後からは動揺と混乱の気配が伝わってきたが、そのまま雲雀は振り返ることなく応接室を後にした。 
 
 
「なぁロマ、ひどいと思わねぇ?!」 
「あー…」 
             ディーノの嘆きの声に対して、腹心の返事は曖昧なものだった。 
雲雀に置き去りにされたディーノは、しばし呆然と佇んだのち、原形を留めないほど粉々になった元・携帯を拾い集めた。部品っぽいかけらをまとめ、さぁどう持ち帰ろうと腕組みしたところで草壁が入ってきた。 
             雲雀から片付けを言い付けられたらしいが、破片はあらかたディーノが集めた後だった。小さいとはいえ、ボンゴレとキャバッローネ、つまりマフィアの内部で作られた物である。そこらに捨ててはおけない。 
             ディーノの様子を見て取った草壁が、紙袋とビニール袋で二重にし、こぼれないように入れてくれた物を手渡してくれた。礼を言って受け取り、ホテルに戻ってきた所だった。 
             それまでぼんやりとしていたディーノが開口一番に叫んだのが先の台詞である。 
「祝ってやるっつってるのに頷かないしさ、携帯まで壊しやがって!連絡つけられねーじゃねぇか!」 
「新しいの作ればいいだろ」 
「作らせるさ。でもさー」 
             怒りながら拗ねる様は子供のぐずりとかわらない。 
「当てがなくなっちまったなボス。誰か呼ぶか?それともバカンスにでも行くか?」 
             手配するぞと言われたディーノだったが、うーんと思案するも「いや、いいわ」と返した。その返事に部下の眉がピクリと動く。 
「いいのか?ご無沙汰だろ」 
「…そっか?」 
             そう言われれば呼んでないし行ってない。だが、女達を思い浮かべるも、選ぼうとすると誰もが同じに思えてくる。 
「なんかそんな気分になれねーや。ありがとな、ロマ」 
「あんたがそれでいいならいいさ」 
「仕方ねーから一人でのんびりするか。あーもー、それにしても恭弥もあんな怒ることないじゃんかよー」 
             また元に戻った愚痴に、今度こそ部下の眉がしかめられた。 
             ロマーリオが机に突っ伏したディーノへ話し掛けようとしたちょうどその時、軽いノックでドアが開いた。 
「ボス、戻ったならこれも片付けちまってくれ」 
「んーどれだ?」 
             ノロノロと上体を起こしたディーノだったが、ボノから書類を受け取った時にはもうキャバッローネのボスの顔に代わっている。 
             書類を持ってきたボノはロマーリオがこちらを見ているのに気付き振り返った。 
「悪い、話し中だったか?」 
「いーや、たいしたことじゃねーよ」 
             肩をすくめてロマーリオが答える。それならよかったと返したボノに、横からムッとした口調のディーノがくってかかる。 
「全然よくねー。恭弥が来ないんだぞ。せっかく色々考えてたのによ!」 
「やっぱりダメだっただろ?だから皆言ったのに!いつもみたいにボスが並盛で祝ってやれよ、休暇中だろ」 
「俺はイタリアで祝いたかったの!手合わせもするって言ってんのに頷かねーし、キレて携帯まで壊しちまうし!何が気にくわねーんだか分かんねーヤツだぜ」 
             文句を言いつつもディーノ書類に目を通し、サインをしてボノに渡した。受け取った書類を手にボノが笑う。 
「見たぜー、すっげーバラバラの携帯。家庭教師も大変だなぁ」 
「ホントにな。あー、気ぃ抜けた」 
             ディーノがどっかりと椅子に背を預けた。部屋を出ようとしたボノがディーノの様子に声をかけた。 
「なんか飲み物持ってこさせるか?」 
「んー」 
            「それより寝たらどうだ? 急ぎの仕事もねーし」 
             ロマーリオに言われて、ディーノは目の辺りにぼんやりした疲れを覚えた。渡日するのに仕事を詰めたため、睡眠時間が減っていた。恭弥を誘うのに気を取られ、溜まっていた疲れも忘れていたなと思い出す。 
「そーするかな。じゃ、ちょっと寝るから1時間で起こしてくれ」 
「了解」 
             部下の返事に立ち上がると、目頭を揉みながらディーノは仮眠室へ。ボスを見送った二人は、そっと仮の執務室を後にした。 
 
 
「さっき見たが、壊されたって携帯、半端なく粉々だったぜ」 
「そーだな」 
             笑いながらのボノに対して、ロマーリオの声音は低い。 
「どーした?機嫌悪いな」 
「別に悪かねーよ。…ただちょっと頭が痛いことがありそうだってだけだ」 
             己の言葉でさっと緊張感をまとった同僚に、苦笑と共に手を振る。 
「あぁ違う違う、恭弥のことでちょっとな」 
             ロマーリオの返事にボノが安堵の息をこぼす。 
「紛らわし言い方すんなよ」 
「スマンスマン」 
             笑って謝ったロマーリオだったが、その顔が晴れた訳ではない。同僚の悩み事にボノも苦笑を返す。 
「確かに恭弥にはボスも手を焼かされっぱなしだ。仕事とはいえ、ボスもよくあんな暴れん坊主に付き合うなと感心するぜ」 
「確かに家庭教師は仕事だがな…」 
             ボノの言葉でロマーリオの顔に苦みが増した。 
「お前の目から見てどう思う?」 
「どうって、何を?」 
             通路で立ち止まり小声で尋ねるロマーリオにつられ、ボノも小声で返す。 
「…なんてったらいいんだか、こう、ボスは恭弥に構いすぎな気がしねーか?」 
             しっくりくる表現が見つからないのか、ロマーリオももどかしげである。だが、ボノはそんな心配を笑い飛ばした。 
「初めての弟子にはしゃいでんだろ」 
「はしゃいでる、か…」 
             確かに楽しそうではある。相手を傷付けるのではなく、導く為に愛器を振るうディーノは、誇らしげな様子もかいま見せた。 
             そうだ、ディーノは弟子を可愛がっているだけだ。会うたびに恭弥が成長していくのは、端で見ているロマーリオでも分かる。対峙しているディーノならもっと感じているだろう。それに恭弥はリボーンからの預かり子なのだ。師匠からの依頼に張り切らないディーノではない。 
             そうだ、気にしすぎだとロマーリオは己を笑った。ボノの屈託のない言いように、やっと気が軽くなる。 
「足止めさせて悪かったな」 
「構わねぇさ」 
             行こうぜと促され、ここが通路だったと思い出す。 
             急ぐ仕事も今は無い。二人してゆっくりと足を運ぶ。少し疲れた気がして、甘いものでも飲むかと考えていると、隣でボノが肩を震わせていた。 
「思い出し笑いか?」 
「いやー、さっきボスがな」 
             ボノの口調に「気のせいだ」と流したモヤモヤが蘇る。 
「構いすぎっつーより、構われたがって必死だなと思ってな。俺もガキの時に似たようなことやったからなー」 
「ガキの頃に?」 
「プレゼント持ってったり、あちこちデートに誘ったりさ」 
「そういや気ぃ引くのに必死だったかもな」 
「だろー?」 
             思い出を懐かしむ年ではないと思いたいが、もう若いとは言えないのも確かだ。若い頃の色恋の記憶はどこかくすぐったく、甘さとほろ苦さを呼び起こす。 
             対してディーノはといえば、「そんな余裕はどこにもなかった」と言っていいだろう。 
             いつもどこからか狙われるような毎日。白を黒に、黒を白に変える世界。そしてその境界線はグレーで、はっきりとした区切りなどどこにもありはしなかった。 
             そんな中にあって、ディーノは子供のままでいられなかった。ただ、大人だったかと言われると、ロマーリオも返答に困るだろう。 
             結果、多感な時期を大人でも子供でもない微妙なバランスで送ってきたディーノは、そのバランスのまま今に至ったようにロマーリオには見える。 
「恭弥相手に恋人ごっこなんてボスは何考えてんのかと思ったけどよ、あの調子じゃ案外本気なんじゃ」 
「やめてくれ、冗談じゃない」 
「怒るなよ、それこそ冗談だって」 
             なだめるボノに、ロマーリオは渋い顔しかできない。 
             リング戦の修行中にディーノが恭弥の恋人候補に立候補した。あの時ロマーリオは「申し分ない」と言った。冗談のつもりだったから。 
             ディーノが弟子に構うついでの冗談だと思ったからノッたまで。本気で賛同などするわけがない。 
             しかし、最近のディーノはどうだ。一応、渡日の理由は商談なのだが、どんなにタイトなスケジュールでも並中に寄り、恭弥に会っている。「リボーンから任された弟子だからな」なんて言っているが、その頭の上がらない師匠への挨拶を電話で済ませる時もある。ディーノがどちらに重きをおいているかなど分からなければおかしいくらいだ。 
             なのに、だ。 
「そうだ、恭弥が来ないならアチコチの予約はキャンセルだな」 
「来ると思ったボスがおかしいんだよ」 
「おいおい、手厳しいなぁ」 
「恭弥が怒るのも当たり前だと俺は思うぜ。坊主がボスの暇つぶしに付き合う理由はないからな」 
             本当に雲雀の誕生日を祝いたいなら、場所などどこでも構わないはずだ。だが、ディーノの計画には「恭弥の喜びそうなこと」より「ディーノが恭弥としたいこと」がほとんど。ロマーリオには「恭弥の誕生祝い」とは名ばかりの「ディーノの骨休めプラン」に見えたものだ。 
             おそらく恭弥が怒ったのも、その辺りが理由だろうとロマーリオにも予想がつく。まだ子供だが、恭弥は聡い。 
             問題はディーノだ。 
「そーするとボスは恭弥に振られたってことだろ?なら「恋人ごっこ」も終わりかー。恭弥に振り回されるボスはいじりがいがあったのにな」 
「ボスで遊ぶんじゃねぇ」 
「悪い悪い」 
             同僚の軽い笑いに、肩をすくめてこたえたものの、ロマーリオは自分が笑えていたかどうかは分からなかった。 
 
 
             仮の仕事部屋の前でボノと別れ、キッチンへ。 
             「恋人ごっこ」も終わりだろうと笑ったボノ。終わらなくても別にかまわないのだ。ただし、それが「ごっこ」ならば。 
             恭弥をどこへ連れて行こう、恭弥と何を食べようと、楽しそうに選んでいたディーノ。ファミリーの前では笑顔の多いディーノだが、皆に向けるものと違うようにロマーリオは感じていた。 
「…「ごっこ」だよな、ボス」 
             ため息の動作に手にしたカップの中身が揺れていた。 
 
 
             
             
             
                                    Fin. 
             
                                 2010. 5.22 
             
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      雲雀さんの誕生日がからんでますが、 
      全然「お祝い」になってません。 
       
      うちのボスは、本当に軽い・・・ 
       
       
       
        
       
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