お返しは、スリル・ショック・サスペンス? 
       
       
      
        
          
             
             
             「飲め」 
             目の前にコトンと置かれたセナ用のマグカップ。いつもヒル魔が食後に入れてくれる飲み物は、季節によって変わる。 「これって、・・・ココアですか?」 
             寒い日によく作ってくれたミルクたっぷりのココア。けれど、今日はそんなに寒くないのにとセナは首を捻る。それに、すぐに気付けなかった理由がもうひとつ。 「綺麗な白〜」 
             いつもなら甘い香りが立ちのぼる表面が、ミルクとは違う白で覆われていた。 
            「1月前はテメーが無い知恵絞ったんだ。これくらいはな」 
             その言葉にセナがフニャンと笑う。 「手間かけさせたんだ、味わいやがれ」 
             まさかこんなお返しがくると思っていなかったセナは、くすぐったい気持ちでカップを手に取った。 「ありがとうございます。嬉しいです」 
             はにかむセナに応えるヒル魔は、セナ以上にくすぐったそうだ。 
             フーッと息を吹き掛けると白い表面が揺れ、パチンと何かが弾ける。 
             (・・・弾ける?) 「いつの間に泡立てたんです?静かだったから全然気付きませんでしたけど」 
             クリームを泡立てる音が全くしなかった事を不思議に思ってセナが聞くと、あっさりした返事がヒル魔から返ってきた。 「混ぜるだけなんだ、たいした音はしねぇだろ」 
             ・・・え?混ぜるだけ? 
             持ち上げたカップが口元直前で止まる。よくよく見ると、ホイップクリームだと思ったモノはキメの細かい・・・ 「泡、ですか?」 「なかなかの出来だろ」 
             ヒル魔の笑顔には達成感がにじみでている。そして、セナの感想を待っていた。 「ヒル魔さん、この泡」 「ん?」 
             聞きたい。『この泡、何で作ったんですか』と。しかし、答えが怖くて聞けない。 
             もちろん言えない。この期待に満ちた表情を前にして『飲みたくない』とは。 
             さすがに口に出来ないモノを使ったとは思わないが、元は食べ物でも組み合わせ次第ではいくらでも危険なシロモノに変わる得る。 『ホワイトデーって、実はスリリングな日だったんだ・・・』 
             持ち上げたカップに口をつける事もできず、さりとて下ろす事もできず、見つめるヒル魔の視線にセナは固まるしかなかった。 
             
             
             
             セナの愛と勇気の決断は、この後10分後! 
             
             
             
             
                                                Fin. 
             
             
                                         2008. 3.13 
             
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      サスペンスはどことか、言っちゃイヤン(笑) 
      ヒル魔さん、何乗っけたんでしょうねー? 
      私にも分かりません。 
      食べ物で遊んじゃダメだよ!(笑)。 
       
       
       
       
        
       
       
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