ラッピング





「手、出せ」
「? はい」
手のひらを上に出されたヒル魔さんの手に、自分の手を乗せる。
「誰が『お手』しろっつった」
チッと舌打ちされて、下から掴まれた手をひっくり返された。
セナの手を掴んだのと逆の手には、いつのまにか小袋が。
ポンと置かれた子袋をじっと見つめた。
「たいしたもんじゃないぞ」
「・・・クリスマスプレゼントには早いですよ?」
「俺が白ひげつけたデブに見えるか」
「全然見えませんね」
サンタさんをデブと表現するのがヒル魔さんらしいなーと思う。
「いらねーなら捨てるから返せ」
「嫌ですっ」
顔を上げたら口端を上げたヒル魔さんが見えた。
セナの口も笑いにほころんでいく。
「初めてです」
「プレゼントもらうのが?」
「違いますよ」
毎年、両親やまもりがプレゼントをくれていた。
しかし、時期が時期なので。
「クリスマスと一緒にされちゃうから赤か緑の包み紙しかもらったことなかったんです」
「ま、そーだろーな」
子供の頃はプレゼントを見ると、誕生日よりクリスマスの比重が大きい気がして、少ーしだけ寂しく感じてもいた。
けれど、今年は別の思いで色を感じられた。
「でも、赤でも緑でも良かったんですよ」
だって、赤はデビルバッツの色だし、緑はフィールドの色だ。
「悪かったな、赤でも緑でもなくて」
「そんなことないですっ!」
手のひらにはピカピカに光る金の紙袋。
「だって金色はヒル魔さんの色ですよ!」
嬉しくないはずがない。
真剣なセナの様子に、ヒル魔が目を軽く瞠る。
「嬉しいですヒル魔さん。ありがとうございます」
小さな金色をそっと手で包む。
触れた手から伝わるぬくもりにセナは微笑んだ。
フッと笑ったヒル魔が耳に顔を寄せる。
囁かれた言葉がセナを幸せで満たした。



『誕生日おめでとう』




                                    Fin.


                             2009. 12.20




超短いけど書けた!
セナたん、ハッピーバースデーvvv
1日フライングだけど。

振り返ると、セナ誕は毎年フライングだわー。