2 〜  すらりとした指


ふと目に入った自分の手。
粗末にしてるつもりはないが、特に気に入ってる訳でもない。
甲を見て、平を見て、また甲を見る。
どこにでもある普通の手だ。
『ヒル魔さんの手、キレイですね』
耳に蘇るアイツの少し高い声。
『ほら、僕の手とこんなに大きさ違うんですよ』
手に蘇るアイツの触れた感触。
『指、長いなぁ』
俺の手に触る時の嬉しそうな顔。
『くすぐったい』
俺の手に触られてる時の恥ずかしそうな顔。
この手のどこにそれほど惹かれるというのか。
『大きいし』
栗田の方が大きい。
『ガッシリしてるし』
ゴツさなら武蔵が上だ。
『優しいから』
優しい? どこが?
『うーん、どこがって聞かれると』
困り顔で笑ったアイツ。
何度見ても変わった所など見つけられない。
やっぱりどこがイイのかさっぱり分からん。
…けれど。アイツの、セナのまだ子供っぽさの残る手。
握りかえしてくる時に感じる柔らかさ。
セナは悔しがるが、俺はそのままでもかまわないとさえ思う。
あぁ、そうだな。
「好き」に理由は必要ないか。



≫ 3 〜 風に揺れる髪
『君に触れたい 5題』  SCHALK.様より
H20.8.1〜H21.3.31 まで拍手に使用